23.07.25
藤原菜穂子様の「永瀬清子とともに」
            思潮社刊
石関様メールより
暮 春 憂 愁 「時代の明け方」より 秋谷 豊

~ 渡辺 綱はわが故郷の地に生まれしという ~

ぼくから神がいなくなった
遠い日
草の影は木のいちばん近いところに
重なっている
夕日の明るさと吹いて来る
風にあおられて
関東ローム層の台地の坂を
上って行って
町からはるかに離れた
麦の畑の中に
箕田源氏三代の館のあった
小さな丘がある
そこは少年が見つけた
ロマンの片隅だった
ああずっとずっと何百年か前
十三歳のとき故郷を出立した
渡辺 綱は
摂州渡辺の庄から鴻巣に下り

わけこし草のゆかりあらばー
と詠んだ
草を茂らせるいくさの傷は
何百年前とて同じだろう
ぼくから神がいなくなったのは
遠くの空で神が火花を
散らしたからだ
草が茂って行方も知れない野を
高崎線の電車が通る
五月の草が記憶している
この平野の展望は
朔太郎が犀星が堀辰雄が
孤独に通り過ぎて行った
寂寥の地方だ

★ 寂寥(せきりょう)---[形動]ひっそりとしてもの寂しいさま
詩鴗館への来館・電話・手紙、出来事・企画・お知らせなど
◎7/21(木)藤原菜穂子様より「永瀬清子とともに」をお送りいただきました
 藤原菜穂子様は永瀬清子様とおなじ岡山の詩人です
 斎藤庸一様の奥様であり、秋谷豊が仲人をした独身時代からの
 秋谷豊の友人です 白河のお宅ををむかし、訪れた時がありました..
 ごちそうになった、お蕎麦の味が懐かしい..  お元気で何よりです
 ★以下はリクルートの「お店のミカタ」に掲載の一部です★
 ★岡山出身の詩人「藤原菜穂子」様が同郷の詩人「永瀬清子」様ついて書かれた評伝集です★
 ★藤原菜穂子様は詩人「斉藤庸一」様と結婚されました、媒酌を秋谷豊がつとめました★
 ★現在は福島県白河市で大震災後もお元気で活躍中です★
 ★評伝集の元になった詩誌「アンプロシア」への掲載のきっかけになったのが★
 ★秋谷豊の詩友、熊本の詩人「藤坂信子」様であったと、あとがきに書かれていました★
 ★永瀬清子様は第12回「地球賞」を、「あけがたにくる人よ」で受賞されています★
◎7/6(水)さいたま文学館の小林和夫館長にお会いして、企画展のお礼を
 申し上げる、館長就任の初仕事であり、大変お世話になりました
 石関英生様にお会いする、石関様は鴻巣観光協会の各部会に所属され
 この度、観光ガイドの中に秋谷豊の詩「暮春憂愁」を採用する労を
 お取りいただきました、ガイド時に桶川市の書家、鈴木保男様が
 和紙にしたためた詩を朗読するとのことです

 また上尾市在住の森田正様をご紹介いただきました
 森田様は「歴史と文学の会会長」「航空朝日会副会長」「東京玉野会顧問」
 「東京岡山県人会顧問」と多彩なお仕事をされています
 「大震災とヘリコプター」の新聞への寄稿を紹介させていただきます

◎秋谷豊賞が決定しました
 「詩鴗賞」 新川 和江 様  昭和4年生 茨城県出身
 「千草賞」 紅月 由華 様  平成4年生 埼玉県出身
 「企画賞」 さいたま文学館殿
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